自傷行為と自殺行為
うつ病によく関連付けられているのが、自傷行為と自殺行為です。
うつ病患者の自殺は毎年3万件を超えると言われており、これは日本における自殺件数の約半分を占めているそうです。
同じく自傷行為もよく見られ、特に若い女性を中心にリストカットをする傾向が非常に高いのです。
どちらの行為も、もともと真面目で頑張り屋であったうつ病患者が、病気によって今までのように作業をこなせなくなったことを憂いて、必要以上に自責の念に駆られ、そのうち自分の存在価値までをも否定し始め、最後には「いっそ自分など消えて無くなればいい」という考えに至ることで起こります。
自分の人生には果たして意味があったのか、というような無力感や絶望感が、自傷行為や自殺行為のもとになっています。
自傷行為、特にリストカットは、若い女性を中心によく見られます。
腕をナイフやカッターなどで傷つけるその理由は、本人でさえ明確に述べることはできません。自分が抱いてきた悔しさ、怒り、後悔、懺悔、そのような気持ちが高ぶって、リストカットに走るのです。でも本当に死ぬつもりでやっているわけではありません。
自殺したいから自傷行為をするのではない、というところに注目すべきだと思います。今まで溜まりに溜まった想いを、リストカットという行為をすることで吐き出そうとしているのです。そして流れた血液を見て、一瞬安堵するのです。
〝切る〟ことで、何とかバランスを取りながら生きている、といったところでしょうか。
自殺の場合はもっと深刻です。
自殺に至る直前の状態では、極度に思考が低下し、自分を責めぬいた揚句の「無」の極致にあり、死ぬことで全てに謝罪するような、そんな視界になっているといいます。死ぬことで誰かが悲しむとか、そこまで考えはまわりません。本人にとっては、死ぬことが謝罪なのですから。
自傷行為も自殺も、やってはいけないことだという認識はうつ病患者も持ち合わせています。ですが、そういった想いをいとも簡単に越えて自傷や自殺に至らしめる、そういう恐ろしさが、うつ病には存在するのです。
だからこそ、周囲の方がいかに早く気付いてあげるかが本当に重要なのです。そしてもし自傷行為や自殺計画を、いきなり叱りつけないで下さい。本人にとっては、悩みに悩み、責めに責めた挙句のことなのです。
ですが「こんなことをしたら傷が残るよ。」「気付かなくてごめんね、でも私がちゃんと側にいるからね。もう責めなくていいんだよ。」など、あくまでも優しく包むように、それでいて注意すべきことはハッキリと伝えて欲しいと思います。