「医師とともに着実な職場復帰を」
過日、興味深い新聞記事を見つけました。
『うつ病は治療と同時にリハビリが必要』だというものです。
うつ病は正しい治療を続けていくと徐々に快方に向かっていきますので、療養中から経済的・社会的状況に焦りを感じている患者としては、早く職場復帰したいと考えるようになります。
実はそこに落とし穴が隠れているんですね。
それは〔復職後の再休職の割合が非常に高い〕ということです。
新聞記事の一部を引用してみましょう。
「内科や外科の病気と同様、うつ病も職場復帰前に一定のリハビリが必要である。」
「うつ病などの気分障害は職場に原因があることが多い。」
「病気の回復レベルと会社が求める仕事レベルにギャップが生じることが多い。」
(平成24年8月25日付 北海道新聞より)
この記事には大変共感を覚えました。
何故なら私自身がまさに「復職を焦った結果、退職せざるを得なくなったケース」だからです。
うつ病で休職し療養生活に入るということは、それまでの社会的地位から離れ、収入も大幅に減少することを意味しています。
精神疾患は目で見てわかりやすい病気ではないため、本人も周囲も深刻性を感じにくく、早く仕事に復帰することを双方が望むという傾向があります。
しかし、「病気は治りかけが肝心」と言うように、うつ病もまた回復の途にある時期が最も大切なのではないでしょうか。
症状が軽くなってきたとしても、従来と同じ負荷の仕事に耐えうるかは別問題であるということを認識した上で、徐々に職場復帰を目指すステップを踏んでいく必要があります。
新聞記事では、全国約90の医療機関で構成される【うつ病リワーク研究会】という組織が紹介されていましたが、医療機関がバックアップしてくれるのであれば患者としても大変心強く感じます。
最終的に職場復帰が可能かどうかを判断するのは、うつ病者本人が得る感触そのものになりますので、自分が職場復帰に本当に耐えうるのか、心身の声によく耳を傾けることが大切ですね。
急いで復職した結果、休職や退職に至ってしまうと、一番ダメージを受けるのは自分自身です。
復職を焦ってはいないか、仕事の不可に耐えうる状態か、これをきちんと見定めることが不可欠になってくると言えるでしょう。